DAY1(9月3日)|日本出発 → 羽田→ミュンヘン

9月3日、朝っぱらから雲ひとつない快晴。 僕は大荷物を抱えて千歳空港へ向かった。心強いことに、行きつけのリファインドコーヒーのマスターと石川さんが、空港まで車で送ってくれた。いやホント助かった。リュックにバイク道具を入れたバッグ、さらにバックパックまであるんだから、歩き移動は厳しすぎる。

千歳空港へ

出発ロビーに着くと、バイク仲間のピンクちゃん(男性)まで襲撃してくる。見送りがあるっていいもんだな。

千歳→羽田

機内は空いてたから、ついついプレミアムシートにアップグレード。プラス8,500円は高いけど、脚は伸ばせるし朝ごはんも豪華。ちょっとした貴族気分だ。

しかし、降りるときにまさかのiPhoneをシートに忘れ、慌てて引き返すはめに。キャビンアテンダントさんが「ミュンヘン、楽しんできてくださいね」なんて言ってくれるけど、僕が行くのはローマのトランジットなんですよ、お姉さん。

羽田空港

羽田空港はもう慣れたもので、搭乗前に写真を撮っていると、そこへ現れたANAスタッフに「ビジネスクラスは初めてですか?」と聞かれたから、
「ANAのビジネスは初ですね」
とだけ言ったけれど、実はマイルでファーストクラスに乗ったこともある。ま、そんな事を言ったところで誰も得はしない。マイルでだよ、あんなのお金で乗るのは一生無理。

ANAビジネスクラス

ANAビジネスクラスの機内食はなかなかイケていた。
映画「ベイウォッチ」を観たら、どういうわけか胸の部分にぼかしが入っている。多分どこかの国の倫理コードなんだろう。せっかくのベッドなのに眠れないまま映画を見続け、あっという間にミュンヘン着。
今度は別のCAさんに「ビジネスクラスはいかがでしたか?」と聞かれて、「飯がうまかった」と応えておいた。

DAY2(9月4日)|GPから着電→ローマ到着即お祭り乱入

ミュンヘン空港で乗り継ぎ → ローマ到着

昔は見知らぬ空港に緊張しっぱなしだったけど、今や「まあ何とかなるだろ」って感じで大して動じなくなった。慣れって怖い。

ルフトハンザのビジネスカウンターを探すのに少し手こずったけど、まあ大事ない。短距離路線の機内食はイマイチだったが、腹を満たすだけと思えばなんとか。ANAが美味すぎた。
ラウンジで休憩にGP から電話が来て焦る焦る。
何言ってるかわかんないしな。即切断ですよ、メッセージでくれメッセージで!翻訳して返事するから!
ここで下手にYESとかOKとかいうと待ち合わせに失敗するから危険なのでね、メッセージで電波が悪いと送る。
そしてローマ行きに搭乗。

ローマ空港にて


ミュンヘン空港で少々うろたえながら乗り継ぎ手続きを済ませ、ルフトハンザ機に乗り込む。短距離路線のビジネスクラス飯は正直いまいちだけど、腹を満たすには十分。
到着が夜というのもあって、ローマ空港での混雑ぶりはそれほどでもなかったが、荷物がなかなか出てこなくて焦る。挙句の果てにはベルトコンベアの受け取り場所が変わっていて、あちこち走り回る羽目に。早くもイタリアの洗礼を浴びた気分だ。

ゲートを出ると、イタリア人バイク冒険家――ジャンピエロ、通称GP(ジーピー)が待ち構えていた。
「おお、よく来たな!」
「やあ、元気そうで何より。……って、ずいぶん急いでないか?」
「早く乗れ! 祭りに行くぞ!」

どうやら僕が今夜からぐっすり眠れる予定など微塵もないらしいぞ、容赦ないな。GPの愛車に乗せられて1時間ほど高速をぶっ飛ばすと、そり立つ古い塔と賑やかな人混みが見えてきた。

どこかに急いでいるGP氏

謎の街・グアルド カッタネーオ

1時間ほど車をぶっ飛ばした先は、そり立つ塔のある賑やかな街。祭りらしく太鼓が鳴り、大勢がワイワイ盛り上がってる。日本人は僕ひとりだろう。

ちょうど塔の神輿みたいなものを担いで先頭で走ってきたのがゴールに到着した瞬間にすごい歓声。

これは地区対抗なんだろうか? 一年の威信をかけた戦い、みたいなノリに見えた。

なかなかの花火大会だったよ

そのまま花火まで始まって、急に夏祭り気分。僕、日本の花火見逃してたから、今年最初の花火がまさかイタリアになるとは。心が震える。泣いてないけど。

祭り会場でGPの息子にも挨拶して、まるで地元民のようにウェルカムされる。
広場で大音量でかかる曲はクイーンのウィアーザ・チャンピオン!。あれ?ここイタリアだよなぁ?
疲労困憊だけど全てが現実離れしていて夢か現実化分からなくなってきた。

次々とみんなが「お前、どっから来たんだ?」と声をかけてくるけど、よくわかんないから「チャオ、チャオ!」と適当に笑顔で返しているうちに、あっという間に夜中になり

家に着いたのは1時すぎ。

ウィアーザチャンピオン!!

僕は27時間も起きっぱなしだ。イタリア初日から飛ばしすぎだけど、これはこれで最高のスタートじゃないか。

(※次回につづく…)