国内旅(イタリア旅準備編)

札幌で出会ったイタリア人冒険家・GP BOMBERから「イタリアに来いよ」と誘われて、気持ちが高鳴る一方、どう考えてもバイク免許取りたてホヤホヤのスキルでは足手まといになるのは明白。
「やるからには、とことん楽しみたい!」――そのためには、自分である程度“長期間を走る感覚”を掴まないといけない。
数日程度のツーリングと、一か月クラスのロングライドとでは、疲れの度合いやスケジュール、装備やメンタル面までまるで別物。単に“行ってみる”のではなく、全力で満喫するためには準備が必須だ。

2015年 秋:初めての2週間ロングツーリング(10月25日~11月8日)

「よし、まずは国内でバイクひとり旅をしてみよう!」
思い立ったが吉日、10月下旬の北海道から新潟行きフェリーに乗り込んだ。その目的はもちろん、一年前に約束した
「免許を取るきっかけをくれたF氏と、愛知の新城でバイクで再会すること」

実によいタイミングと伏線の回収だ。


• 旅程
2015年10月25日~11月7日
新潟 → 富山 → 石川 → 岐阜 → 愛知 → 三重 → 和歌山 → 徳島 → 香川 → 兵庫 → 京都 … と、約2週間にわたって2500kmを走破。

• 再会
F氏とついにバイクで再会! 一緒にツーリングまでできたのだから、あの時の「来年バイクで会いましょうね」約束が実現したわけだ。伏線その1回収である。
• 千里浜の砂浜
富山の友人と石川・千里浜をバイクで駆けたのも印象的。海岸線を走るなんて、とんでもなく新鮮な体験で、後に「SSTR」という砂浜ラリーイベントがあると知るのは、もう少し先のことだった。

こうして免許取得後わずか半年で、初の2週間ソロツーリングに挑戦。天気や宿探し、体力配分などいろいろ学びがあったが、「まだ走り足りない!」という欲が増しただけだった。

2016年1月3日 GPからのメッセージ

年が明けてお正月気分に浸っていたところへ、突然イタリアからメッセージが届いた。
「お前が乗るバイクはあるんだよ、いつ来るんだい?」
早くても1~2年かけて準備しようと思っていた私に、まさかの“先手”。

ここで人生の分岐点。
• 「行くよ」
• 「まだ無理、そのうちね」

答えは明白だ。「そのうちね」なんてはぐらかしたら、相手は「こいつは来る気ないな」と判断するに決まっている。せっかく巡ってきたチャンスを逃すほどバカじゃない。
「行くよ」と即答して、日程のすり合わせを開始した。

とはいえ、2016年中はスケジュール的に厳しい。そこで2017年6月をターゲットに話を進める。
私からのリクエストは2つ。
1. KTM本社(オーストリア)に行ってみたい。
2. MotoGPを観戦してみたい。

するとジャンピエロは、「KTM本社? イージー、ノープロブレム。MotoGPなら友人がエントリーしてるからファクトリーパスがあるぜ!」と、こちらが驚くような反応。もう気持ちが高ぶるしかない。

なおこの時、MotoGPとは言ってみただけで、国内では茂木も行ったことないし、そもそもCSでも見たことは無い、レーサーの名前もしらないのであった。勉強しなきゃ!

2016年 秋:さらに長期ツーリングで鍛錬(10月16日~11月11日)

「イタリアでバイクを思いっきり楽しむためには、1か月規模の旅をシミュレートせねば」と、次に計画したのが西日本ツーリング。
• 2016年10月15日~11月11日
京都 → 鳥取 → 岡山 → 島根 → 山口 → 福岡 → 大分 → 宮崎 → 鹿児島 → 熊本 → 長崎 → 愛媛 → 広島 → 兵庫 → 香川 → 徳島 → 大阪 → 京都 → 福井 …
約4,500kmを一気に走り回る、まさに“国内版イタリア旅シミュレーション”だ。テント泊やライダーハウス、フェリーの活用など、旅のスタイルも多彩。

この経験で、ロングライドにおける体力管理や装備の選び方、モチベーション維持などを徹底的に学んだ。身体は疲れ果てたが、心はどんどん鍛えられていく感覚。

2017年 春~夏:計画再調整とSSTR申し込み

2017年に入ると、GPの新たな企画が僕の予定と重なることが発覚。結果として、イタリア行きを6月から9月に延期することに。
観戦予定だったグランプリが変更となり、「ムジェロGP」から「ミサノGP」にターゲットを切り替えた。
ちなみにジャンピエロは、2017年3月から6月までカナダ・トロント~アルゼンチン間を1190Adventure Rで縦断中というから驚きだ。まさに世界を股にかける“真の冒険家”である。

SSTR2017 (5月17日~25日)

そんな中でも私はさらなるトレーニング(という名の遊び)を欠かさない。5月中旬からの「SSTR2017」に参加して、石川・千里浜の砂浜を再び走った。
一昨年は「砂浜を走るなんて…」と恐る恐るだったが、今回は拍子抜けするくらい楽勝だった。やはり経験は偉大だ。
また無謀にも大型バイクで新宿の友達に会いに行き辞めときゃ良かったと後悔する羽目に。

Northern500 (8月11日~13日)

続けて8月には北海道発のロングライドイベント「Northern500」にも参加し、1550kmを走破。短期間ながらも集中して走ることで、さらに自分のライディングが安定していくのを感じる。

そして迎えた2017年8月27日(渡辺美里 コンサート)

当ブログで第1回に投稿しているアレである。未読の方はこちらへ(リンク)

あちこちを走り回り、気づけばバイクライフもすっかり板についた。この日8月27日にイベント=渡辺美里のコンサートが控えている、というところで“イタリアバイク旅”プロローグは次の段階へ突入。

「行くしかない。いや、行ける!」
ここまで準備を積み重ねてきたからこそ、その確信がある。長距離走行の体力配分、旅先でのトラブル対応、そして「本気で楽しみたい」というモチベーション。すべてが揃いつつある。
イタリアでKTMに乗り、オーストリアの本社を訪ね、MotoGPを観戦する――そんな夢が、もはや夢ではなく“現実にすべきこと”として目の前に迫っていた。

次回は、いよいよ「イタリア上陸」編へと物語が加速していく…かもしれない。果たしてどんな道中が待ち受けるのか。アラフォーからのバイク人生、スタートからわずか2年足らずで、ここまで濃厚な展開になるとは、当の本人ですら想像していなかった。

(※本篇へつづく…)