バイク人生わずか3か月目にして、まさかの急展開!
GP BOMBERとの出会い
2015年5月27日 帰国 & バイクコミュニティ参加
長旅を終えて海外から戻ったその日、真っ先にチェックしたのは自分のKTM 1190Adventureに関する情報。購入後あまりにも国内情報が乏しく、周りに乗っている人もほとんどいない。そこで思い切ってFacebook上の「KTM1190Adventureコミュニティ」に参加してみた。
するとほどなくして、メンバーのMAMORUさんからひょんな話が舞い込んできた。
「イタリアからすごいバイク冒険家が日本に来るらしいんですけど、もしよかったら会いませんか?」
その人物の名前は“ジャンピエロ”、通称GP BOMBER。ゴビ砂漠やシベリアを抜けて、イタリアまで帰るという壮大なツーリング計画を実行中とのこと。しかも彼の相棒はKTM1190Adventure R。私のバイクと全く同じモデルを、KTMイタリアからスポンサードされているそうだ。
“BOMBER”という物騒なニックネームに少々不安を覚えるが、「どう考えても面白い予感しかしない…」と即答で会う意思を伝えた。英語もイタリア語も怪しい自分だが、何とかなるだろう。

2015年7月8日 正体不明のイタリア人、札幌に出現
GP BOMBERは成田でバイクを受け取り、カルネ(海外旅行に持ち込む物品の通関手続き書類)も無事入手し、北海道へ北上中とのこと。私は内心そわそわしながら、到着の連絡を待っていた。噂によると地図はひろげて使う大きい日本地図だけで走ってるらしい、まじか!
すると7月8日正午過ぎ、突然メッセージが入る。
「札幌ファクトリーなう、ユナイテッドシネマカモン!」
なぜ日本語!? ともあれ、猛ダッシュで札幌ファクトリーの映画館へ向かう約30分で到着、それらしき外国人はどこにもいない。映画館スタッフに聞いても「そんな人見てません」と首をかしげるばかり。
ジャンピエロよ、呼んだならいてくれよ! 「イタリア人、自由すぎる…」と早くも洗礼を受ける。
仕方なく一旦家に戻り作戦を練り直していると、今度は札幌ファクトリーのネットカフェ「自由空間」の店員さんから連絡が。
「スミマセン、イタリア人のお客さんが来てまして…日本語が通じないので困ってます」
なんと、向こうからSOSが飛んできた。どうやらジャンピエロが押しかけて、店の人がオロオロしているらしい。すぐに「容疑者の確保お願いします!」と伝え、ようやくご対面に成功した。



合流後、勢いに飲み込まれる



バタバタの初対面を果たしたあとは、彼が「パソコンを壊したから買い替えたい」と言い出し、電器店を巡ったり、その足で回転寿司を食べに。宿泊先を尋ねると「ノープランだ」と言うので、急遽わが家に宿泊してもらうことになった。
翌日は買ったPCをイタリア語設定にするため、喫茶店で半日がかりの格闘。これだけでもうヘトヘトだが、こちらの疲れなどどこ吹く風で「夕日の見える場所にいこうぜ!」とツーリングへ繰り出す。
その後、彼は北海道を一周すると言い出し、私は道北の羽幌(はぼろ)にある「吉里吉里(きりきり)」というライダーハウスまで同行して解散。しばらくして知床方面へ向かったようだが、滞在中、私の友人が「FBで見た怪しい外国人が目の前に現れた!」とびっくり報告してきたらしい。北海道の広さを感じつつも、バイク乗りの世界は意外と狭い。
帰路で再び札幌に立ち寄った彼は、またしても道に迷い、近所のローソン店員から「外人さんが困ってます…」と私にSOSが。
「いや、冒険家のくせに一度泊まった俺の家への道が分からないとは…ジャンピエロ!」
笑うしかない。そんなドタバタがあって、結局都合3泊ほど拙宅に滞在し、その後は本州へと旅立っていった。
別れ際に衝撃の一言


出発の朝、彼はさらっとこう言い放った。
「お前、イタリアに来いよ。バイクは貸すから、ヘルメットだけ持ってこい。一緒にイタリアを走ろう!」
まぁそんな内容を言っていた。
おいおい、冗談…かと一瞬思うが、そこに迷いはなさそうだ。
外国人はこういう事を冗談では言わない、そのかわり約束は守らないといけない。
これってとんでもない大チャンスじゃないのか?そうに決まってる!
そして
それに対し私はこう返した。
「俺は普通の日本人と違うぞ? 本当に行くぞ? しかも1か月くらい行くぞ? マジでいいのか?」
するとジャンピエロはニヤリと笑って「OK, カモン!」。
その瞬間、頭の中で“何か”が弾けた。
《これ、来たな。ヤバいやつ来ちゃったなマジでやべぇぞ》
まるで心の奥にあったスイッチがカチリと入る。まだバイク歴3か月なのに、イタリアでの旅が実現しそうな気配が濃厚に漂う。
こうして、私の「イタリアKTMバイク旅」企画が幕を開けるのだった。
GP BOMBERのサイト
http://www.motorbiketravel.it/
その後の物語は…
帰国後に芽生えた「バイク旅スキルを本格的に磨きたい」という強い思いと、ジャンピエロの誘いが重なり、私は大きく舵を切ることになる。
そりゃもう、最初の海外スクータツーリング(ロードス島一周)で変な免疫はついている。普通の旅じゃ満足できない体質になっていた。果たしてイタリアでどんな冒険が待っているのか――。
次回はこの「イタリア遠征」の具体的な準備や、さらに深まるバイク旅へのこだわりを綴っていく予定だ。引き続きお楽しみに。